体臭

心理的療法が必要な場合

緊張や不安、ストレスによるニオイと汗の悩みには心の治療を

緊張や興奮、不安、ストレスにともなう発汗やニオイは誰にでも起こるものであり、恥ずかしいことでも病気でもありません。しかし、「人前で汗をかいてしまったらどうしよう」「汗をかいていることが人に知られたらどうしょう」などの不安にたえず悩まされ、生活や対人関係に支障をきたすほ
どになると、体臭恐怖などの対人恐怖症と同様、神経症の治療を受けることをおすすしめます。

本当の願望に気づくことから始まる治療法など

次に、代表的な心理的療法をいくつかあげておきましよう。

精神分析療法

この療法の特徴は、汗やニオイという自覚的な症状よりも、本人が自覚していない無意識の衝動に注目する点です。現在の症状を、幼児期の体験や対人関係などの生活史と関連させながら、連続性をもって考えていきます。

第2の特徴は、症状そのものが持つ、隠された意味を重視する点です。たとえば、親への反抗心が発汗というかたちで表現されていたと判明したケースもあります。

治療には、「自由連想法」という方法がよく行われます。患者さんがリラックスした状態で治療者(医師、カウンセラーなど)と面談し、順に思い浮かんだことを自由に話してもらいます。治療者はそのときの態度や仕草、話の内容、感情などを分析して、患者さんに伝えます。患者さんはそれに基づいて幼児期の体験やコンプレックスを洞察し、過去のさまざまな記憶を思い出して、現在の感情や症状との関係について理解を深めて
いくのです。

この方法は、患者さんの心に潜む無意識を、治療者と一緒に探していき、今まで気づかなかった本音の衝動や願望を探り、それが現在の症状に結びついていると気づかせる治療法であるといえます。

ロゴセラピー(逆説志向)

「『汗をかくまい』と意識するほど緊張して、余計に汗をかいてしまう。ならばいっそのこと、どのくらい汗をかけるか試してやろう」。

ロゴセラピーとは、このような逆説的な発想で緊張からの解放を目指す、いねば”開き直り療法”です。こんな簡単な方法で本当になおるのかと疑う人もいるでしようが、意外にこれが有効で成果が上がりやすく、実際、たった。回の面接で発汗が激減したケースもありました。

ただし、執着性の強いタイプの人では、開き直りの発想自体がかえって症状(汗、ニオイ)に意識を向けさせることになり、逆効果となる場合もあります。このタイプの患者さんには、過剰な自意識を他者や社会に向けさせ、意識をより高い次元に持っていくことが大切です。

自律訓練法と系統的脱感作法

訓練によって自律神経のコントロール法を身に付ける治療法で、系統的脱感作法なども含みます。

系統的脱感作法というのは、たとえば、緊張するとrのひらによく汗をかくという人の場合、汗をかきそうにないたとさ、緊張とは逆のりラックスするような状態に自分を持っていくことで緊張を解くという方法です。多汗の引き金となる緊張状態に反するようなリラックス状態に身を置くようにす
るわけです。これは自律訓練法の練習で、弛緩反応がマスターできると可能になります。

自律訓練法も専門医やカウンセラーから練習法を学びマスターすれば、自分でコントロールできるようになります。

呼吸法

誰もがより簡単にマスターできるようにした自律訓練の簡便法です。この呼吸法を正しくマスターするだけでも、ある程度発汗が減少することもあります。

呼吸は、人の心身に大きな影響を与えます。脳波をα波状態にし、身体をリラックスさせるのが、この呼吸法の目的なのです。

集団療法

多汗恐怖や体臭恐怖に悩む人同上が知り合い、同じ悩みや本音を打ち明け合って共感を得ることで、日ごろの役割に縛られない本音の自分を発見し、それに従って生きる練習をすることが、この療法の目的です。

具体的には、さまざまな演習やゲーム、ロールプレイなどを通じて、自分を無理なく主張できる自己主張訓練、自己表現訓練、他者を理解するための傾聴訓練、対人関係における自己理解を深めるための性格分析などを行います。

薬を使って、ニオイや多汗の不安を取り除く治療も

強い不安感から強迫観念にとらわれるようになると、精神安定剤や自律中枢調整剤などのほか、漢方薬を使った治療も行うこともあります。

薬物療法

精神性発汗が恒常化して悪循環に陥ったような場合、実際に汗をかく前から、「人と会ったら汗をかくのでは?・」というぐあいに汗をかくことを予想し、それへの不安(予期不安)を抱くようになります。強度の自己臭恐怖と同じような不安に陥るわけです。

薬物療法は、このような強迫観念から逃れるために、薬剤によって心の不安を取り除く方法です。

投与に用いられるのは主に、精神安定剤(マイナートランキライザーなど)、自律中枢調整剤(ベレルガルなど)、中枢性睡眠剤(バルビタールなど)ですが、眠気・ふらつきなどの副作用や常飲にともなう問題もあり、穏やかな効き目の漢方薬を用いることもあります。

それ以外にも、発汗の生体的機構に直接働きかける薬剤(抗コリン剤など)の投与も有効です。これらの薬剤使用によって予期不安が減り、汗の量が減少してくると、安心感と自信が生まれ、薬剤を使用しなくても不安がなくなり、緊張と発汗の悪循環を断ちきることができるようになります。

このように、薬物療法がある程度の効果を上げた後は、お守り代わりに薬剤を持っているだけでも、「いざとなったらこれを飲めばだいじようぶ」という安心感が得られるという場介も少なくないようです。

より重症な場合の自己臭妄想の治療法

私の治療の経験からみると、発汗恐怖や多汗恐怖の患者さんのはとんどは、軽症の心身症とほぼ同等なので、ここにあげたような精神療法で充分対応できるという印象を持っています。

しかし、自己臭妄想の場合、なかには、重症の神経症や統合失調症に近い患者さんも含まれます。こうなると、自己臭妄想だけにとどまらず、幻聴などの知覚障害をともなったり、被害妄想や誇大妄想を訴えることもあります。 このような重症の自己臭妄想(自己臭恐怖症)に対しては、精神療法のみの対応では不十分な場合が多いため、治療としては、向精神薬の投与が最初に行われることになります。また、ときには精
仲科の病院に人院した上での治療が必要となるケースも行えられます。


精神性発汗の手術治療法

精神療法が効かない人や少しでも汗を減らしたい人に

とても緊張したときなど、手のひらに汗をかいてしまうというようなことは多かれ少なかれ誰しも覚えのあることでしょう。しかしなかには、ちょっとした緊張や少しの気温の変化などでもびっしょりと手のひらに汗をかき、止めようと思えば思うほど、どんどん汗が吹き出てきてしまう、という人
もおり、このような症状を精神性発汗と呼んでいます。

精神性発汗は、基本的に心理的療法での治療が中心となりますが次のような人には、手術による治療法もあります。

  1. 精神療法の効果がまったく感じられなかった人
  2. 精神療法を行う時間的余裕がない人
  3. ある程度でもよいから、短期間で汗を減らしたい人
  4. ある程度でも減汗効果が得られれば、自信を回復して前向きに社会生活を送れるであろう人
  5. ワキガとの混合型の人

精神療法には多くの努力と時間を要する場合が多く、一部では期待したほどの効果が得られないなどの理由で、かえって失望して自信をなくすケースもあります。

また、「ある程度でもよい」という控え目な要求水準を待った人なら、半分程度の減汗でも大きな喜びを得られます。たとえ半分でも効果が得られたという実感が、患者さんの不安を軽減して安心感をもたらし、手術の効果以上に汗が減ることもあるのです。

ワキガ治療とは違う点もある手術内容

精神性発汗の手術に適しているのは、直視下剥離法です。しかし、ワキガ手術とは違います。

より厚く剥離

真皮層の剥離する部位を、ワキガよりも厚くします。皮膚をより薄く剥離することで削除されるエクリン腺の量が増えるからです。

より広く剥離

わきのエクリン腺は、毛が生えている部分だけでなく、その周辺にも多数あるので、ワキガの場合よりも広範囲の剥離を行います。

ワキガとの混合型も

また、精神性発汗とワキガの混合型と診断される人もいます。この場合、エクリン腺ともアポクリン腺ともいえるような汗腺の存在が認められます。こわは、両々が一体となった混合腺であるアポエクリン腺というものと推察されます。この場合は、手術による減汗効果が非常に高いので、汗腺を完全に摘出することが大切です。


ワキガの治療法~直視下手術法

皮下組織を除去する二つの方法

次に紹介する手術法は、医師が直接、手術対象の部位を見ながら、自分の手で行う直視下手術法です。

まずあげられるのは、「切除法」です。ワキガ手術の原点ともいうぺき古典的方法で、わきの毛の生えた部分の皮膚を、皮下組織まで含め全部切り取るという単純な発想の手術法といえるでしょう。

切除後に皮膚を縫合しますが、皮下組織まで取ってしまうので、当然、皮膚のツッパリ感や神経の損傷、血管の圧迫などの後遺症が残ります。また傷跡も大きい上、1~2週間ほどの安静入院が必要となるなど難点が多いため、現在ではほとんど行われていません。

皮膚まで一緒に切り取ってしまう切除法に対し、「剪除法」は皮膚はそのまま残して皮下組織だけを除去する方法です。切開した皮膚を裏返し、クーパーと呼ばれるハサミ状の器具でアポクリン腺と皮脂腺をかき取ります。

術後に「タイオーバー法」という皮膚の固定を行って、切開部分の自然な癒着を促した点が画期的でした。現在も多くの病院で行われていますが、アポクリン腺をひとつずつ確認せずひと塊にして切り取るため、まばらに残存することが間題点として報告されています。

直視下剥離法の六つの改善点

「直視下剥離法」とは、アポクリン腺の摘出法や切間部位、切開範囲などに技術的な改良を加えた、最新の直視下手術法です。

この方法では、アポクリン腺を「かき取る」のではなく、皮膚と脂肪層とアポクリン腺をていねいにはがしていきます。これにより、汗腺の摘出が比較的スムしズになり、出に皿も最小限に抑えられることになりました。

また、切開部位の改良によってアポクリン腺の取り残しをなくした上、術後の傷跡もわきのシワにまぎれ目立ちません。切開範囲も、患者さん一人ひとりの皮膚の伸びに合わせて変えるので、皮膚の伸びやすい人ややせ型の人は切開範囲が狭くなります。

しかし、この手術法にも間題点はあります。ひとつは、手術の所要時間が最低でも一時間かかることでしょう。それでもこれはアポクリン腺をていねいに剥離していくため、また術後の経過を良好にするためには絶対不可欠なのです。

一つめは、切間日がやや人さくなることです。術後6ヵ月もすわばほとんど目立だなくなりますが、傷跡が気になる人は、術前に相談しておいたほうがいいでしょう。 


ワキガの治療法~非直視下手術法

手術をともなう治療法の6つのポイント

ここで紹介する治療法は、前ページの一時的な治療法と違って、効果が永続する根治療法になります。手術をともなう療法ですが、これにもさまざまな方法があり、いずれも以下のことを目標に、開発・改良されてきました。

ポイントは、

  1. ニオイが確実にとれる
  2. 汗が確実に減る
  3. 安全で副作用がない
  4. 再生・再発しない
  5. 傷跡が目立たない
  6. 短時間でできる

の、6点になります。いずれも重要なポイントですが、これらすべてを満たすのは、なかなか難しいものです。手術法は、1~6までどのポイントを優先するかによって、2つに大別できます。

まず、1~4を優先し、アポクリン腺を腺根までていねいに除去することに主眼を置いた方法を、「直視下手術法」と呼びます。医師が自分の目で、手術対象となる部位を見ながら、自らの手で行う手術だからです。この手術法については、次ページで詳しく説明しましょう。

早さと美しさを重視した非直視下手術法

一方、5と6を重視した、「より早く治療し」「より傷跡を目立たなくする」ことに主眼を置いた治療法もあります。この方法では、アポクリン腺を摘出するために、さまざまな機器が使われ、医師が直接、手術の対象となる部位を見ることなく、機械に頼って行う手術方法になるので、「非直視下手術法」、あるいは「機械的方法」と呼んでいます。

主な非直視下手術法には、次のような方法があります。

皮下組織掻爬法

鋭匙というスプーン状の刃物を切開口に入れ、アポクリン腺をかき出す方法です。しかし、鋭匙の刃の切れをよくするのが難しく、除去効果も確実でないため、現在ではほとんど行われていません。

皮下組織削除法

基本的には掻爬法と同じく、アポクリン腺をかき出す手法ですが、鋭匙の代わりに、ひげそり刃と皮膚を圧迫するローラーを組み合わせたような器具を使用します。

使う器具の完成度は、機械的手術法のなかでも最高のレベルですが、熟練した医師でないと操作が難しいという難点があります。不慣れな医師が行うと、皮膚が裂傷を負ったり、皮下の神経組織を傷つけたりすることがあり、ベテランの技術が求められる方法です。

また、アポクリン腺が除去できたかどうかは、外側の皮膚の色の変化から判断することになるため、判定にも熟練を要する点など、いくつかの課題が報告されています。

皮下組織吸引法(超音波法)

発想は美容外科で行っている脂肪吸引と同じです。おなかの脂肪を吸い出すように、吸引器によってアポクリン腺を吸い出します。

しかし、この方法では、効果・安令性ともに問題が残ります。まず、この方法ではアポクリン腺が完全に除去されたかどうかの判定ができません。アポクリン腺は皮膚の真皮層に以往のようにしっかりと密着しているため、腺根が残って再発する可能性が非常に高いのです。また、真皮層にあるエクリン腺を摘出できないので、この方法では発汗量を減らすことはできず、多汗の解決にもなりません。血腫ができるなどのトラブルも少なくないようです。


ワキガの治療法・一時的な治療

ワキガ治療のための五つのポイント

ワキガ治療にあたっては、次の5項目を目標におく必要があります。

  1. アポクリン汗を出さないようにする
  2. エクリン汗を減少させる
  3. 皮脂腺の皮脂を出さないように する
  4. 皮膚表面の細菌の繁殖を防ぐ
  5. 脱毛する

これらすべてが満たされてはじめて、完全な治療法と呼ぶことがござるのです。

しかし、ワキガ臭がそれほど強くない場合には、これらすべてを満たさなくても、一時的にニオイを減らすことは可能です。たとえば、脱毛だけでもそれなりの効果が得られる場合があります。

というのも、たとえば「梅雨の間だけでも、におわないようにしたい」「明日のデートの間だけでいいからニオイを抑えたい」など、一時的な治療を求める人たちもいるからです。

ワキガは気になるけれど、手術をするほどでもないと考える人たちのために、ここでは一時的な治砂法を紹介しましよう。

一番簡単な、制汗スプレーや軟膏を使う局所的薬物療法

わきのニオイを抑える一番簡単な方法は、わきの下の皮膚に軟膏やスプレーを塗布することでしょう。

この場合使われるのは、わきの皮膚を収縮させて発汗を抑える制汗剤と、細菌の繁殖を抑える殺菌剤の二つに大別できます。

ただし、最近はさまざまな制汗剤や脱臭化粧品が市販されていますが、それらはもともと一時的な効果を期待して作られたもので、長い間使うためのものではありません。そのため、長い問使っていると、薬剤性皮膚炎などを起こすおそれも出てきます。

また、市販の制汗スプレー類は、軽症のワキガの人には一時的な効果があるかもしれませんが、明らかにワキガ体質という人が使うと、ワキガ臭とスプレーのニオイが混ざって、いっそう不快なニオイが発生し、逆効果になってしまうことが少なくありません。制汗スプレーなどは、あくまで一時的に使うものと心得ましよう。

脱毛法から考案された電気凝固法

もともとは美容法の一環としての脱毛の方法が、ワキガ治療に使われているものもあります。これは、細い電極針をわき毛の一本一木に刺し、鳥川波川流を通して毛根組織を熱で凝固させる方法で、電気凝固法といわれています。もともとは脱毛法として考案されましたが、皮脂腺やアポクリン腺も同時に熱凝固して破壊するので、ワキガ臭に対しても」時的な効果があります。一時的というのは、ワキガの原因となるアポクリン腺を取り除くわけではないからです。

しかし、絶縁針を使った新しい方法が開発され、皮下約5mmまで深く刺入できるようになってからは、通電時間の延長や電圧アップによって、アポクリン腺に対する凝固効果がにがり、ワキガ治療法としての有効皮を高めています。

軽度のワキガで、手術をしてまでもなおしたいとは思っていない、という人や、永久脱毛もできるのなら一石二鳥、という人には、この電気凝固法が適しているでしょう。

一時的にせよ、完全とはいえないまでも、ある程度、わきの汗とニオイを抑えたいという人には、ボトックズの注射も効果的です。

ボトックズとは、ボツリヌス菌の毒素を無毒化したものです。顔のシワとりに応用されていますが、多汗症の治療にも使えます。ボトックスをわきの皮下に局所注入すると、汗が6~7割程度は減り、その結果、ニオイも抑えられます。

効果の持続期間は約半年と一時的な治療になりますが、安全性も確認されていますし、汗とニオイの両方が気になるという人には、治療法のひとつとして選択の価値はあるでしよう。 


ワキガ体質六つチェック

あなたのニオイはワキガが原因?

現代人はますますニオイに敏感になっているので、単なる汗の二オイをワキガと思い込んで悩む人は、あとをたちません。そこで、ワキガ体質の項目を以下にあげてみました。ワキガ体質の人は、わきのアポクリン腺が活発に働いています。自分かワキガ体質かどうか、次の6つの項目に照らし合わせチェックしてみましよう。

耳アカが湿っている

耳アカが乾燥タイプではなく、ネバネバと湿っているタイプをアメ耳といいます。外耳道のアポクリン腺の働きが活発な人は、ネバネバしたキャラメル状の耳アカが出ます。強いワキガ体質の人は、100%耳アカが湿っています。

わき毛の量が多い、女性の場合はわき毛が太い

わき毛が多ければ毛根も多いので、アポクリン腺の数も多い傾向にあります。

衣服や下着のわき部分が黄ばむ

アポクリン腺から出る汗は黄色や茶色がかっているので、白い下着をくり返し長く着用していると、汗シミで黄ばむことがあります。

肉親にワキガ体質の人がいるか、または、両親いずれかの耳アカが湿っている

遺伝による影響は3割程度といわれています。

わきの汗が多い

アポクリン腺の数が多く、また働きが活発であれば、汗の量も増えます。汗に粘り気がある場合も要注意。

肉食中心の食生活

動物性脂肪(肉、乳製品など)は、アポクリン腺や皮脂腺の働きを活発にするといわれています。

以上、6つすぺてがあてはまる人はワキガ体質である可能性が濃厚です。実際にアポクリン腺がどれだけあるかは、病院で試験切開をすればわかります。もしも、ワキガと診断されたとしても、簡単な手術で完全になおすことができますから、疑わしい場合は専門医を受診したほうがいいでしよう。

日本人のワキガ体質は少ないからこそ目立つ

ワキガは別名「臭汗症」「肢臭症」という、特別強いニオイを発する症状です。しかし、どこかが病んでいるという、いわゆる病気ではありません。

民族ごとのワキガ体質の比率は、一般的には黒人が100%、欧米人が70~90%、日本人は10~15%中国人が3~5%といわれていま
す。動物件脂肪を多くとる食文化の国であるほど、ワキガ体質が多いようです。

比率としては日本人のワキガ体質は少ないほうですが、少ないからこそ逆に口立ってしまうといえるでしよう。


あなたの悩みは汗?ニオイ?

「汗かき」チェックをして対策・治療法を知ろう

あなたの悩みは、汗をかきやすいこと、いわゆる多汗ですか?それとも、多汗にともなうニオイですか? あるいは、汗はあまりかかないのに、自分のニオイが気になってしかたがないですか?

多汗やそれにともなうニオイの悩みがあれば、ワキガ型多汗か精神的発汗型多汗の可能性が大です。ワキガ型多汗というのは、ワキガ体質が原因になっている場合です。また、精神的発汗型多汗というのは、緊張したりすると発汗するタイプのことで、気持ちを落ち着かせる精神療法などを受けると徐々に解消されることがよくあります。

これらのいずれにも該当しないのに、自分のニオイが気になってしかたがないという場合は、「体臭恐怖症」か「自己臭妄想」の可能性があります。このような人には、心理的治療法をおすすめします。

このほか、全身疲労を感じている人は、体内の乳酸が増加し汗中にアンモニアの分泌が盛んになって体臭が強くなっている場合があります。また、制汗剤を使い過ぎると汗がにおうこともあります。

なお、汗をよくかく部位が限られている場合には、内臓疾患の可能性もあり要注意です。たとえば、頭だけよく汗をかく場合は肝機能障害が、首から上だけなら虚弱体質、体力不足、神経過敏など、手のひらや足の裏だけならリウマチ、蓄膿症、高熱性疾患、神経疲労などが疑われるといいます。


足のニオイの原因とは

足のニオイの原因は「汗」「角質」「靴」の3点

足の裏は、汗腺が集中しており、体の中でも比較的汗を多くかきます。足の甲の3倍、背中や胸の5~10倍の汗腺が存在しており、1日にコップ約1杯分の汗をかくともいわれています。

足にかいた汗は、放置しておくと皮膚常在菌によって分解され、脂肪酸となりニオイを発します。さらに、足の裏は体のどの部分よりも角質層が厚くなっています。この表皮細胞が新陳代謝や摩擦などではがれ落ち、大量のアカとなります。このアカを栄養分にして常在菌はますます繁殖し、皮脂腺からの分泌物が混じると、余計にニオイが強くなるのです。

しかも、足は日ごろ靴や靴下などで長時間おおわれています。密閉状態にあるため、足の温度は上昇し、かいた汗も蒸発せずにこもる」方です。これは、常在菌が活動するのに最適の環境です。また、蒸れると皮膚の角質層はよりはがれやすくなり、細菌の栄養素をどんどん供給することになるのです。

このように、足はニオイの悪循環を生みだしやすい部分なのです。

足や爪を清潔に保つことがけアの基本であることはいうまでもありません。ただし、水虫などの皮膚病を患っている場合は病気の治療が先決です。

足の多汗はストレスによる「精神的発汗」が原因

ところが、水虫もなく、常に足を清潔にしているにもかかわらず、なぜか足がにおってしまう人もいます。こういう人はストレスからくる精神性発汗によって足のニオイを強くしていると考えられます。

たとえば、家でくつろいでいるときにはまったくにおわないのに、職場にいるとニオイが強くなってしまうというような人は、仕事環境のストレスによって精神性発汗が促されていると考えられます。

また、このような人は、「自分の足のニオイが周囲に迷惑をかけいるのでは…」と気になると、それがまたストレスになって発汗を促すという悪循環に陥りがちなタイプです。「相手がいやな思いをしていないだろうか、気分を害していないだろうか」と気づかいのできる優しい人だからこそ、ス
トレスになってしまうのでしよう。足のニオイに悩む人は、心優しい人が多いというのもうなずけます。

しかし、ワキガ治療とは違い、足の多汗を完全になおす治療法は今のところ存在しません。むしろ「精神的負担を軽減させるような心理的な治療法が有効でしょう。 


臭わない良い汗と、臭う悪い汗

良い汗は、サラサラしていてすぐに乾く

体臭と密接な関係にある汗について、もう少し話を続けましょう。エクリン腺から出る汗は、次のような仕組みで分泌されます。

体温が上昇すると、血液からミネラル分と水分が汗腺に取り込まれます。ただし、このとき、体にとって必要なミネラル分は血液に再吸収され、水分とわずかな塩分だけが汗として皮膚面に排出されるのです。これが、本来の汗であり、「良い汗」といえます。

血液への再吸収機能がうまく働いている良い汗ほど、より水に近いサラサラの汗になります。さらに、水に近いので蒸発しやすく、気化熱による体温調節もスムしズに行われることになるのです。

悪い汗は、ペタペタしていて乾きにくい

ところが、汗腺の機能が鈍って、ミネラル分を再吸収せず、水分と一緒に体外に排出される汗は、ペタペタしていて蒸発しにくく、体温調節機能がうまく働きません。

現代人がかく汗のほとんどは、この「悪い汗」といえます。肉中心の食生活や生活環境・人間関係におけるストレスの他、運動不足に加えて汗をかく習慣がないことが悪い汗をかく大きな原因です。

とくに、エアコン完備のような環境にいると、本来の働きを忘れた汗腺に老廃物や角質がたまり、汗をかいたときに、これらの不純物も一緒に排出してしまうのです。

不安や緊張などによる「精神性発汗」も、突発的かつ大量にかくため、ミネラル分の再吸収が追いつかず、悪い汗となります。

良い汗はにおわないが悪い汗は臭い

良い汗は蒸発しやすく、また少量の塩分を含んでいるため、皮膚表面を酸性に保ち、皮膚常在菌の繁殖を抑えてくれます。したがって、良い汗をかいている分には、体はそれほど臭くなりません。

しかし、悪い汗はべ夕べ夕して蒸発しにくく、ミネラル分を含んでいるため、皮膚表面をアルカリ化してしまいます。アルカリ性の環境下では皮膚常在菌が繁殖しやすいので、汗のニオイが強くなってしまうのです。

悪い汗は臭いとなると、自分の汗が「良い汗」か「悪い汗」か、気になるところです。そこで、簡単なチェツク法を教えましよう。使うのは、赤色のリトマス試験紙です。汗にリトマス試験紙を付け酸性であれば試験紙の色は変化しませんが、アルカリ性であれば試験紙は青く変化します。大まかな目安としては、青ければは「悪い汁」、色が変わらなければ「良い汗」ということになります。一度、試してみてはいかがですか。


エクリン腺とアポクリン腺 その2

エクリン腺の持つ三つの働き

単なる多汗による汗臭さなのに、じつはワキガではないかと悩んでいる人は少なくないでしよう。多汗によるニオイとワキガ臭とは明らかに異なるのですが、この違いに深く関係しているのが、エクリン腺とアポクリン腺なのです。

まず、エクリン腺ですが、ここから出る汗は、発汗のしかたによって次の三つに分類されます。

ひとつめは、温熱性発汗です。これは、暑いときや運動をしたときなど、体温を調節するために体全体から出る汗で、体温を37℃前後に保つための生理的な汗です。

二つめは、精神性発汗です。主に手のひらや足の裏、わきの下などの局部にかきます。緊張や驚き、不安などから起こる「冷や汗」も精神性発汗のひとつです。

最近は、このような汗を気にする人が増えてきていているようです。しかし、ちょつとした緊張にも反応して、手のひらや足の裏に異常に汗をかくようなときは、「多汗恐怖」「発汗恐怖」が疑われます。このような場合は、精神性発汗とは区別し、心理的な治療法が必霞となるでしょう。

三つめは、味覚性発汗といって辛いものや熱いものを食べたときに、額や鼻、唇の周囲、首などにかく汗です。

このように、エクリン腺から出る汗は、生理的な汗であることがほとんどです。多汗の場合の汗もたいていはエクリン腺からの汗なのです。

暑い所の人は、寒い所の人より、働く汗腺が多い

エクリン腺は全身に広く分布し、汗腺の数は平均350万個、少ない人で200万個、多い人では500万個あるといわれています。

しかし、存在するすべてのエクリン腺から汗が出ているわけではありません。実際に活動している汗腺を「能動汗腺」と呼びますが、これはエクリン腺全体の半分程度で、汗の量は能動汗腺の数に影響されます。

能動汗腺の比率は、生後約3年のうちに過ごした環境で決まると考えられています。熱帯地域で生まれ育った人は寒冷地域で育った人より能動汗腺の数が多く、猛暑下での体温調節をスムーズに行えるようになっているのです。

また、能動汗腺は額や手のひら、足の裏に多く集中しています。

アポクリン腺の汗はニオイがあって当たり前

一方、アポクリン腺の量は、遺伝の影響もありますし、人種や個人によって差があります。

アポクリン腺の役割は、本来、体温の調節ではなく、体臭の原因となるニオイのある汗を作りだすことです。ですから、多くの動物は、個体の認識や仲間同土の確認、異性を惹きつけるフェロモンのような役割をアポクリン腺が担っており、腺組織も発達しています。

しかし、人間では、進化の過程において、体毛の退化にともない、アポクリン腺は徐々に退化してしまいました。休毛の代わりとして、寒さをしのぐために衣服を着込み、暑さをしのぐために体温調節を待ったエクリン腺が新たに進化したと考えられています。そのため現代人のアポクリン腺は、わきや性器の周辺などの局部にしか存在しないのです。ワキガ臭はアポクリン腺からのニオイなのです。


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